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俺はマンデラになるのいいんちょのレビュー・感想・評価

俺はマンデラになる(2021年製作の映画)
3.7
アホなふりをして、実は相当知能指数の高い映画。

フランスの黒人は差別されている! と怒りに震えるジャン・パスカル・ザディという売れない俳優が、街でデモを繰り広げるまでに密着した、という体裁のモキュメンタリー。

ジャンさんは知り合いや、有名人に協力を乞うなど、自分の運動を大きなムーブメントにしていこうと努力するが、いく先々でトラブルを起こし、相手にキレられ、終いにはしばかれることもある。

これは、ジャンさんが問題についてマジメに取り組んではいるものの、あまりにも無知というところに起因するが、これは無知というスタイルをとって、問題の複雑さに光を当てていくスタイルだといっていい(だって脚本自体がジャンさんによるものだからね)。

黒人だからといって「私は黒人である」というアイデンティティを生きているとは限らないし、そもそも黒人とは誰のこと?カリブ出身者は違うの?ムスリムは?それから、黒人以外はこのデモに参加してはダメなの?

素朴なジャンさんはさまざまなツッコミにあって終始困惑しっぱなしだけど、ぼくらはそれで学んでいけるし、時に笑えるのである。
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