ミミ

コーダ あいのうたのミミのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.5

手で話す、その言葉のなんと雄弁なことか。

ルビーが歌うことへの想いを表すとき、言葉は用いられない。
ダイナミックであり繊細な手の動き、そこに差し挟まれる息遣い。

それを目にした観客は、言葉にできないけど、なんとなくわかっちゃったな、と思わずにいられない。

言葉にできないことをなんとか伝えようとする、そのときに音声言語と身体言語の間に、どれほどの差があろうか。

そしてその営みこそ、最も人間的なもののひとつではないか。

手話は言語の代替ではなく、まさに言語そのもの。
そんな当然のことに気づかせてもらえる、瑞々しく爽やかな傑作。

ところで、ルビーとマイルズが湖に飛び込むシーンは、マーリー・マトリンの『愛は静けさの中に』でプールに飛び込むシーンのオマージュだろうか。

リメイク元を寡聞にして知らず、早急に確認せねばならない。
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