手で話す、その言葉のなんと雄弁なことか。
ルビーが歌うことへの想いを表すとき、言葉は用いられない。
ダイナミックであり繊細な手の動き、そこに差し挟まれる息遣い。
それを目にした観客は、言葉にできないけど、なんとなくわかっちゃったな、と思わずにいられない。
言葉にできないことをなんとか伝えようとする、そのときに音声言語と身体言語の間に、どれほどの差があろうか。
そしてその営みこそ、最も人間的なもののひとつではないか。
手話は言語の代替ではなく、まさに言語そのもの。
そんな当然のことに気づかせてもらえる、瑞々しく爽やかな傑作。
ところで、ルビーとマイルズが湖に飛び込むシーンは、マーリー・マトリンの『愛は静けさの中に』でプールに飛び込むシーンのオマージュだろうか。
リメイク元を寡聞にして知らず、早急に確認せねばならない。