ななこっこ

コーダ あいのうたのななこっこのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.6
勇気をもらえる素敵なファミリー映画。同時に聾者の世界がこんなにも生きづらいものだとこの作品を観て初めて知った。
耳が聴こえなくても手話があれば何とかなるものだと思っていたので衝撃的だった。

4人家族でルビー以外の家族が耳が聴こえないから、全てのコミュニケーションを手話で取っていて、家族間ならそれで良いけど、外の世界ではみんながみんな手話を使えるとも限らず、疎外感を感じるばかりか、コミュニケーションが取れなければ仕事もままならない。そんな中で聴者であるルビーは幼い頃からずっと外の世界の人と家族を繋ぐ為に通訳として生きてきて、頑張っているにもかかわらず、アメリカの治安の悪さもあるのか、学校でもバカにされて浮いた存在で、それでも道を外れることなく家族を守るために生きてるルビーがカッコ良すぎた。

ルビーは歌うことが好きで、音楽大学を目指すようになるんだけど耳が聴こえない両親は大反対するばかりか、仕事のために必要だから夢をあきらめて欲しいと言う始末でこれはもうつらすぎて見ていられなかった。実際ルビーがいないと音が聞こえないから漁師の仕事も危険なんだけど、そこは通訳を雇うとか、誰かに手話を教えて手伝ってもらうとか、親がなんとかすべき問題では…?と思って毒親っぷりに少しイライラしてしまった。

この作中で歌われる曲の歌詞が、やりたい事をなかなか叶えられないルビーの現状と一致していて泣けました。
あとすごいと思ったのは耳が聴こえない人が無音の中コンサートにいるとどうなるかを表現するための演出が凄すぎた。そりゃあ晩御飯何?とか聞きたくなるよねえと思ってしまうそんな演出。
納得のいくアカデミー賞作品でした。
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