『Coda コーダ あいのうた』（2021）
原題：Coda
監督：シアン・ヘダー
オリジナル作品の良さを全く損ねず、むしろオリジナリティを加えることで作品をより高みへと導く。これぞリメイクのお手本といった、完璧な作品。
オリジナル作品である『エール！』は鑑賞済みで、しかも強く心を打たれた。
ヨーロッパの小作品のアメリカでのリメイクには正直あまり良い印象がないため、高い評判を耳にしてはいたものの『エール！』を超えることはあるのかと疑心暗鬼で、本作の鑑賞を躊躇していた。
アマゾンプライムの見放題が始まったのをきっかけに意を決して見てみたが、先の心配は杞憂に終わった。むしろ、なぜ劇場で観なかったのかと後悔するほどの素晴らしい出来。
家族の設定を漁師一家に改変したことが功を奏し、さらに兄の役割を強化することで家族の繋がりがより明確に表現されている。物語を綺麗事で終わらせないための下ネタも本作では効果的。
家族４人全員に感情移入できてしまうため、最後はあたかも自分が５人目の家族になったかのように、良い意味で気持ちがぐちゃぐちゃにされる。
驚くような展開があるわけでもなく、全てが予想通りに進んでいくのに、なぜここまで心が揺さぶられるのだろう。
本当に素晴らしいリメイク作品だった。
