60代の作家・兼三郎は、妻の明子を亡くし打ちひしがれていたが、葬式の日、寺の住職から生前に明子から預かったという手紙を渡される。
そこにはイギリスのウィンダミア湖に遺灰を撒いてほしいという願いが記されていた。
兼三郎は、あまり良い関係ではない息子のトシとその家族とでイギリスへ向かうのだが・・・。
自身初長編作品となるイギリスの監督パトリック・ディキンソンと、日本人キャストがタッグを組んだ国際的な合作プロジェクト、だそうです。
終始説明過多ではない、抑えた演出が良い。
認知症になった妻・明子は、最終的に全身に癌が転移して亡くなったと推測できるんですが、時間の経過を見せるために敢えて説明を省いたんでしょうけど、ちょっとだけ唐突感が強かったかな?
リリー・フランキーが演じる兼三郎と、木村多江が演じる明子の若い頃を、工藤孝生と恒松祐里が演じていて、このキャスティングは前後の繋がりを感じさせる絶妙なものでしたね。
すれ違う父親と息子が、母親の遺言に従い向かったイギリスの旅で、その溝を埋めていくという、ストーリーとしてはこれと言って特筆するところはあまりないよくあるものではありましたけれども、ロードムービーとしての画の切り取り方が綺麗なのと、リリー・フランキーの味が利いていて、シンプルにその世界に没入できる作品だったと思います。