MotokiA

シン・仮面ライダーのMotokiAのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.0
■シン・仮面ライダー

日曜久々の映画館。
ブラックサンの落胆もあったので、わりと期待しながら観に行った。

結果、めちゃめちゃ微妙な印象。
嫌いではないし好きな部分もあったけど、また観たいとはあまり思わず。

以下記録。
ネタバレになることは後半に。

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▼予備知識
自分の予備知識がショッカー、本郷・一文字の名前(あと藤岡弘、)くらいだったからもう少し勉強してから観た方が良かったのか…
本郷、一文字、ルリ子あたりの関係性について知っていたらもう少し入り込めたのだろうか。

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▼良かったところ
前半は宙返りやライダーキックなど、ライダーの伝統芸能的なカット割りやアクションがいい感じだった。
一方でCGを駆使しないとできない物理ガン無視の超人的なアクション(とカメラワーク)もエンタメ要素があってすごく良かった。
殺陣も特殊効果だけでなくカット割りでスピーディーに見せているのが凄かった。

あとロケーションがいい。
遠景に気持ちいい抜けのあるショットが多々あるのがめっちゃ良かった。

あとバイクとかのギミックがいい。

あと大人数のエキストラが絡む長回しのショットもなぜかツボにハマってテンションが上がった。

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▼展開
やや単調な印象があった。

どうしてもシン・ゴジラ、シン・ウルトラマンの流れで観てる部分はあるのであえて引き合いに出すと、
過去2作とも原作の特撮世界観に設定を補強して現実に寄せ、
ベースはシリアスなトーンにしつつ、ところどころにコミカルに近い遊びが入っていた(在来線爆弾しかり巨大長澤まさみしかり)。

そういう要素が、物語全体の緩急やリズムをつくったり、又はガス抜きの役割をしたことで、観る側が物語の中に引きとめられて熱中できた要因だったのかもしれない。

それに対し本作は割とシリアス一辺倒で構成されていた印象で、それゆえちょいちょい我に返ってしまうところがあり、良くない意味で最後まで冷静なまま観てしまった。

序盤からドシャーっと流血描写があったので、「あれ、なんかブラックサンみたいな感じになるのか…?」と警戒したのが半分当たってしまった。

怪人1体1体RPG方式で攻略していくのも(仮面ライダーのフォーマットがそういうものなんだけど)単調に感じる要因だった。

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▼物語の要点・人物の掘り下げ
主人公の葛藤と運命の受け入れ、ヒロインとの関係性の構築、敵の大義、個々人の過去・背景、人の幸福…と物語でかなり大事な要素が多かっただけに、
全体的に浅い仕上がりになっていたように感じ、特に感情移入できるキャラクターがいなかった。

序盤で博士が怒涛の状況説明して退場する辺りも苦肉の策の演出に見えたし、ルリ子が本郷に心を開いていく過程も、ルリ子とハチの関係性も、一文字の心の解放も…
どこか整えられた予定調和に見えてしまった。

そのあたりも過去2作の登場人物は
「今・ここにある危機に立ち向かう人間」にフォーカスして(またはそう割り切って)描いていたのが本作との違いかもしれない。

付随することとして、
過去2作は人類の存亡がかかる危機が大規模な人的・物的被害として明白で、
観客を強制的に当事者に巻き込むつくりになっていた。
本作も一応人類の危機と戦ってはいるんだけど、終始他人の私闘を眺めている感も物語に入り込みづらい要因だったと思う。

仮面ライダーのフォーマットはそういうものだし、人知れず孤独に戦うヒーローこそが仮面ライダーなのかもしれないけど、
だからこそ登場人物の人となりをもっとちゃんと深堀りしてほしかった。

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▼その他細々気になったこと

・トンネルの中くっっっら、って思った。
そういう演出とか言う話ではなくて、ただただ見づらい。

同僚とも度々話に上がる話なのだが、日本の映画やゲーム暗い場面がホントにただ暗いものが散見される気がする。
そのあたりコントロールされてる作品だと、暗い場面なのも伝わる上で何が起こっているかもちゃんと分かる(このあたり恐らくライティングやカラーグレーディングなど専門外の部分なので勉強しよう…気になる)。

量産型が隊列組んで爆走するとことか、
見どころがあるシーケンスだったと思うので、単純に視覚的にもう少し見せてほしかった。
なぜかマジンガンぶっ放してるところで何年か前のサイボーグが出てくるインド映画思い出した。

・バイクが変形して加速するところ
倍速くらいでもいいのでは?と思ったところがいくつかあった。加速器エグいのにスピード普通だな…と。

・主に本郷のセリフが聞きづらいのが時々気になった。SEが被さるところなど特に。

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▼結局観てて思ってたこと
感想書いていると色々思い出したものの、観てる最中ひたすら思ってたのは

「本郷の頭めっちゃプルプルしてるな」と「浜辺美波まじで綺麗だな」の2つ

頭プルプルは最初感情が高ぶった演技なのかと思ったけど、
今それ必要か?という場面でもプルプルしていたので演技なのか俳優さんのクセなのか…と劇と関係ないところでめっちゃ気になった。

前述の理由でストーリーに興味が持てず、だいぶ早い段階で「浜辺美波マジで美しいな」が観続けるモチベーションの大半を占めていたため
後半ルリ子が退場してしまい「あらら」って思ったあとに集中力がなくなり、やや眠気が出てきてしまった。
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▼付記
「私は用意周到なの」「あらら」などクセになるフレーズが今回もあって良かった。
クモも印象的な言い回しがあったけど何だっけな…山本耕史かと思ったけど違った。

映画そのものの個人スコアはこのように。
きっと知る人ぞ知る点は色々ありそうなので、詳しい人の感想や解説を聞いてみたい。
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