『シン・ウルトラマン』が個人的にかなりイマイチだっただけにかなり懐疑的な目で観賞。庵野秀明自身はウルトラマンの方にはあまり関われず不本意な出来だったとデザインワークスで内省していただけに、ならば仮面ライダーは本領発揮の作品なのかと考えながら観る。野外ロケーションの貧相な感じと怪人コスチュームのコスプレっぽさは良い意味でニチアサ感があって気に入った。多分作っていた側も狙っていたと思う。アガる主題歌のアレンジもグッド。アクションの動きも決まっていてかっこいいけどもっとの引きの画でも見たかった。終盤のトンネルの戦闘が暗くて分かりにくいのももったいない。松尾スズキ、竹野内豊、斎藤工などの庵野作品に関わりのあるキャストも総登場でなんとなくシン・ユニバースのパラレルワールドを想像。意図したのかはわからないけど池松壮亮の演技の棒っぽさが気になった。ウルトラマンの時のような実相寺アングルは抑えめでだいぶ見やすい。けどやっぱりセリフはいちいちアニメ的で、実写で聞く分には小っ恥ずかしい。ラストシーンに至るまで説明台詞ばかりなのも相変わらず。人間ドラマ部分は2時間では圧倒的に過程が足りていない。浜辺美波のデレセリフは唐突すぎて気持ち悪い。怪人との接触の流れも「またこの流れか〜」と飽きがくる。なんならTVシリーズ向きな内容。それとCGのクオリティの低さも鑑賞中ずっと気になった。VFXの戦闘シーンは途端にCGアニメを見ている感じ。コウモリオーグの羽ばたきのアニメーションは特にひどい。ウルトラマンに引き続き、日本映画の予算的な制約をまたもや感じる。
と、なんだかんだダメなところは沢山あるけれど決して嫌いになれない映画。制約があるなりにやりたかったことは全部盛り込んだ感じが作り手のこだわりを感じる。良い悪いは置いて、もはや庵野映画は邦画のいちジャンル。あと東映任侠映画よろしくショッキングな暴力描写も気に入りました。
