ShinMakita

ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染のShinMakitaのレビュー・感想・評価

1.1



とあるホテルの三階…

日本からやってきた妊婦ナオミが、しつこい夫からのメールを無視しシングルマザーになる覚悟を決めて母親と会話している。同じ階の別の部屋では、ドライブ旅行中の一家がチェックインを済ませたばかり。主婦ヴァルと夫ブレンダン、そして娘のケリーだ。一見仲の良い一家だが、実はヴァルには肚に抱えた思いがあった。長いこと、彼女はブレンダンからDVを受けていたのだ。旅行中に離婚を切り出したいヴァルだったが、ブレンダンに懐いて笑顔のケリーを見るたびに決心が揺らいでしまう。だが、夜になりケリーを風呂に入れる段になると、ヴァルは娘の体に不自然な痣を見つけてしまった。あろうことか、ブレンダンは娘にも暴力を振るっていたのだ。ベッドでイビキをかいている夫を起こさないように、ケリーをつれてホテルから逃げ出そうと思い立つヴァル。しかしその頃、なぜか三階の廊下だけに未知のウイルスが散布され、宿泊客が続々と病に倒れていた。ナオミも感染し、体が麻痺しながらもなんとか廊下を這っていく。先に廊下に出ていたケイシーは非常口に取り残され、荷物をまとめていたヴァルは、感染し凶暴化したブレンダンに襲われ部屋から出られなくなってしまう。果たしてナオミ、ヴァル、ケイシーの運命は⁉︎


「ロックダウン・ホテル 死霊感染」

以下、釈由美子、ネタバレ初進出。

➖➖➖➖

カナダ製のB級ホラー。カナダ映画をナメてはいけない。クロネンバーグ、エゴヤンにドゥニ・ヴィルヌーブと巨匠を産んだ国ですよ。皆最初は低予算ですから、こういうB級映画にもダイヤの原石のような煌めきがあるはず…

と信じたら負け。本作は残念ながら、まごうことなき駄作。問答無用のダメ映画でした。

限定空間のウイルスパニック(どうやら感染して死ぬとゾンビになるのではなく、幽霊になるみたい)ものですが、見せ方に新鮮味もなく、脚本もボロボロ。どうして感染したのかのロジックも、散布した犯人の動機や背景も、何一つ描かれていません。ドラマの第1話なら許せる展開です。これ一作で物語を完結させる気がないのかな。だったら、あのエンドクレジットのニュース場面はむしろ不要でしょ。主人公2人…ヴァルとナオミがどちらもDV被害者という共通項を全く活かせてない対比も気になるし、「雪のホテル&DV夫が追っかけてくる」というシャイニングオマージュも中途半端。この監督には才能が全く無いと言い切って良いですよ。

ただ、釈由美子の芝居は良かった。ヴァルとの日常会話のリアルな巧さは、日本人の誇り。アイスランドのわけわからんホラーに出てツインピークスてヌードになった裕木奈江よりも、ハリウッド超大作に出ながら白目剥いてただけの小栗旬よりも、遥かにキャパはある。次はもっと予算のかかった映画で、本作なみのいい役につけたら、桃井かおりを超えられるかもしれません。頑張れ釈由美子!映画はシャクに触る出来でも、貴女は素敵だった!

故にスコアは1.1。今年ワースト級だけどね^_^
ShinMakita

ShinMakita