ぴんじょん

東京自転車節のぴんじょんのレビュー・感想・評価

東京自転車節(2021年製作の映画)
4.5
説得力あります。

新型コロナウイルス流行下の東京の様子と、そこにうごめく下層の若者をとらえたドキュメンタリー。

監督自らがウーパーイーツの配達員になってその目で社会を見つめているところがいいですね。
それが、わざと身を落としている(いわゆる潜入ルポ)というよりも、監督の置かれている環境から、やむを得ずそうせざるを得ないというところに説得力があります。
高みから見物しているようないやらしさがないのです。

この作品が撮影されていた頃に比べると、新型コロナウイルス感染症の状況やコロナに対する人々の感覚は多少変わったけれど、本質的な社会の構造はちっとも変っていません。

新型コロナウイルス感染症によって、むき出しになった弱肉強食を良しとする今日の社会構造を、はっきりと見せてくれているのがこの作品といえましょう。

テンポも良く、各所に挟まれた自虐的ともいうべきユーモア、とらえられる下層社会の様子も、水平に見える立ち位置。
故郷の「ひいくん」にも水平に接しているところがすばらしい。

この作家さん、今後どうなるか楽しみです。
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