ぽち

あ・く・あ ふたりだけの部屋のぽちのレビュー・感想・評価

3.5
驚いた。下手な監督がお金をかけて作った物より全然面白い。

もちろんB級ではあるのだが、いろいろな物がごちゃ混ぜになった煩雑ともとれる脚本は見事で、笑い、エロ、SFなどをバランスよく、またセンス良く詰め込んでいて楽しい。

監督の素人くさい演出がまたプラスに働いたのも幸運だろう。
これはキャスティングにも言えて、ヒロインの小泉は学芸会程度の演技ではあるが、そのぽっちゃりボディーとキャラ設定に救われている。
そしてさすが元AVだけある脱ぎっぷりの良さは見所だろう。

脚本の平谷が自分で言っているように「個室に閉じ込められた男女劇」が芯にあるのだが、それにパクリとはいえSF色やSMをうまく取り入れてお化粧したストーリーは、オリジナリティがあると言っていいだろう。
それにSFマインドを感じられるのが嬉しい。

後輩を襲うシーンは爆笑物。また、閉じ込められる部屋や地球消滅のCGのショボさも笑いとしてとらえることもでき、これも味となっている。

今作を大金を使いリメイクしても、この面白さは出ないだろう。

お笑い二人の隕石のシーンや、ヒロインの過去などいらないシークエンスもあるが、雑多な感じが楽しく、まったく期待していなかっただけに、ジャイアン効果で2倍は楽しめる作品。



余談。
なぜSFマインドを感じられるか。
今作の設定や描き方をちょっと変えるだけで、かなりハードなSFを作ることが出来る。

というか、パクった元が超ハードSFなので当たり前ではあるが、それをここまで崩して料理したのなら、パクリというのも失礼かもしれない。

多分一番根本には「2001年~」があるのだろうし、アーサー・C・クラークの小説「幼年期の終わり」や、これのパクリであるニコラス・ケイジの「ノウィング」など、はかなり近い内容。

今作では二人がアダムとイブになるような感じだが、ここは「2001年~」の人間以上の物に進化させられるってのをとってほしかったなぁ。

って言うか、ラストはあの部屋の窓からカメラが引いて行って・・・
なんと巨大モノリスの上にちょこんとあの四畳半が乗っている、って絵を見せてほしかったな。笑
ぽち

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