Ken

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のKenのレビュー・感想・評価

3.7
2021年75本目。
2021年に映画館の音響でSly & the Family Stoneを聴けるなんて………
ラストの"I Want To Take You Higher"のパワフルさと熱さよ。


1969年にニューヨークのハーレムで行われたフェス。撮影したにも関わらず、誰も買い取らず今までずっと放映されたことのなかったものを約50年後の今、映画化された。1969年はウッドストックの年。アポロ11号の年。


冒頭のスティーヴィーワンダーが若い!!という驚きの直後にまさかのスティーヴィーワンダーのドラムソロ!!!!!そしてめちゃかっこいいタイトルコール!!うおおおおおおおおってなったぞ。

ステージの背景と"Festival"の字体がもう良い。すごく良い。
原色のような色鮮やかな衣装のアーティストと、ステージ背景と、その向こうの青空と、ちょっとだけ見える木の緑色の鮮やかさ。映像が綺麗で驚いた。
音もめちゃきれい。最近のリマスター技術ほんとすごい。50年前とは思えない。


映画は当時の黒人の状況について語られつつ、フェスの映像がたっぷり流れる。
B.B.キングや5th Dimension、ニーナシモンなどをたっふりと見られる。最高。
勉強不足なので知らないアーティストもたくさん。マベリアジャクソンの迫力はとんでもなかった。ゴスペルすごい。パワー。


印象的だったのはSly & the Family Stoneのところの当時の観客の、女性がトランペットを吹いているのに感動した的なセリフ。
それまでのアーティストって女性はシンガーくらいだけだったのね。バックバンドはみんなお揃いの衣装を着た男性。そういうものも壊したSly & the Family Stoneの大きさよ。



黒人の歴史的なものは、Netflixのドキュメンタリーの「憲法修正第13条」を見たことがあるので、新しい発見はない。
それでもとても手短にわかりやすく伝わってくる良作だと思った。歌とかぶせた見せ方が上手い。

アポロ11号についてどう思うか聞かれて、貧困に金回せ的な当時のインタビューシーンが流れるんだが、東京オリンピックやん……って一気に現実に引き戻されたのは悲しかった。
Ken

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