見逃していた今泉力哉監督作品。
主人公志田彩良さん、監督の作品では常連の女優さんだが、あまり認識できていなかった。
父の再婚。継母と彼女の連れ子ひなたとの4人生活が、唐突に始まる。
自分は父の恋人と初対面なのに、明らかに3人は既に家族に近い存在にできあがっている様子が分かり、彼女の感じた小さな疎外感を、場面から私も感じた。そういう、言葉にできないほど小さな違和感が少しずつ積もって彼女は揺らいでゆく。
冷静すぎる父親の態度にはイラッとした。彼女の不安定な気持ちにもう少し寄り添うべきでは？でも、この悪びれず淡々とした井浦さんパパの実在感が絶妙で良かった。
彼女の心の拠り所となる陸も良かった。彼自身が心の不安定さを抱えながらも、生きていく方向性、生き甲斐を見つけようと懸命になっている様子が誠実で、好感が持てた。
彼らの不器用な青春が懐かしさもあり美しい。その後の人生が、とても気になる。
最も感動したのは。菊池亜希子さん演じる美子と主人公2人の台所のシーン。ジーンと涙が出た。
やや出来過ぎ良いこの主人公だが、小さい頃から自立してきた彼女のキャラクターだからこそ、と思えばそこも健気で好感が持てた。
しみじみ良い映画だったと思う。
