ブタブタ

屋敷女 ノーカット 完全版のブタブタのレビュー・感想・評価

屋敷女 ノーカット 完全版(2007年製作の映画)
4.0
最初の日本公開版は未見。
今回のノーカット完全版が初鑑賞。
しかし「ノーカット完全版」なんて言葉は「SUPERDRY.極度乾燥(しなさい)」と同じくこの世に存在しないシロモノでは。
最初の日本公開版はハサミによる腹裂きが真っ黒けにされたって事で、今回のバージョンが本来の形であり別に「ノーカット」でも「完全版」でもない。
これが最初の「通常版」で「オリジナル版」であり、変な処理加えて作品に本来ない筈の猥褻性や下劣な見世物感を与えてしまった日本の映倫及び日本の映画・映像作品に対する意識の低さには辟易する。
あとそれから『屋敷女』って邦題も気に入らないから!
『インサイド』でいいと思うけど。
それから日本公開時のキャッチコピー「その女、凶暴につき」ですって!?
最低!!!!

前置きが長くなりました😇
誰も言及してない(?)けど本作は『エイリアン』及び『エイリアン2』からかなりのインスパイアがある様に思った。
主人公サラの見る悪夢、大量に吐き出される牛乳みたいな白い液体はアンドロイド・アッシュみたいだし、口から出てくる血まみれの胎児は完全にチェストバスター。
それから役名無しの《見知らぬ女》の犠牲者は「七人」でノストロモ号の乗務員と同じ数。
ちゃんと猫もいるし。
ここより多少ネタバレで悪しからず<(_ _)>









『インサイド』=中身、のタイトル通り本作の中心にあり《見知らぬ女》の目的でありサラの守る物である「胎児」
《見知らぬ女》にとっては失った物でサラにとっては体内に宿っている物。
『エイリアン2』でも卵をリプリーに焼き殺されたエイリアンクィーンと、ニュート(擬似的な娘)を守るリプリーという「二人の母」の対決がクライマックスだった様に『インサイド』でも体内に宿る胎児の奪い合いというサラと《見知らぬ女》のガチバトルが展開される。
『エイリアン』では「エイリアン」は怪物であると同時に必ず其れを生物兵器として利用しようとする存在が登場して、人間にエイリアンを寄生させて手に入れようとする。
即ち「エイリアン」は恐るべきモンスターであると同時に非常に価値ある存在、皆が奪い合う「マクガフィン」である様に『インサイド』でも「胎児」という「マクガフィン」の奪い合いバトルとなる。

お手製の火炎放射器といった武器や、後半戦の真っ暗闇から襲ってくる《見知らぬ女》など正に『エイリアン』の世界。

でもそれだけでなく凄まじいゴア描写やサラの戦闘スキルの高さ。
特に〇〇間違って殺しちゃう手際の良さとか『ブラックエンジェルズ』の雪藤の様。
包丁とパイプで作った即席ヤリ持っての覚醒モードや、《見知らぬ女》との後半戦は完全にバトル物。
役立たずの警官が脳吹き飛ばされゾンビ化、《見知らぬ女》は顔反面焼かれてお岩さんみたいになるしラストバトルは皆モンスター化して血みどろの決戦。
しかしラストカットの静寂と寂寞さ、まるでゴヤの絵の様な醜いのと同時に聖性を感じさせるなどニューウェーブフレンチホラーの最高傑作の評価も高い本作。
見れてよかったです。
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