【女の執念】
かつて"フランス"には、4作のホラー映画の代表作が誕生した。
アレクサンドル・アジャ監督の「ハイテンション」……そしてパスカル・ロジェ監督の「マーターズ」……ザヴィエ・ジャン監督の「フロンティア」……そしてこの"ジュリアン・モーリー&アレクサンドル・バスティロ"監督コンビの「屋敷女」がある。
この4作には1つの共通点がある。それは徹底的な"痛々しさ"だ。特にこの「屋敷女」は強烈だとされ、ホラー映画ファンにとっては名の知れた作品となっている。
それが"ノーカット完全版"になったのだから、きっとヤバいに違いない。
実は私は4作の中で唯一本作だけは観れておらず、この作品の通常版はどうなのかは知らない。アメリカ・スペイン合作でリメイクされた「インサイド」も観れていない。
そんな私がいきなりノーカット完全版を観るのだから、もう大変であった……しかし不思議と幸せであった。
傷心を抱えた"妊婦"と謎の"ハサミ女"の血みどろマッチが描かれているのだが、本作はただグロく描いているわけではなく、両者の"悲しいサイドストーリー"も加え、両者の"人間性"も詳しく描かれた作品になっていたのだ。
それゆえに、実に"可哀想な運命"を背負わされた2人であり、不可能かもしれないが、どちらも助けてやりたかった。2人の"執念の戦い"を観て、そう感じた。
これで私はフレンチホラーの代表作を全作網羅した事になる。
どちらも"女性が中心"に描かれ、それぞれの特性を持っている。
それぞれの強さを持っており、それぞれの執念を持っている。
まさに、現代に描かれるべきホラーなのだなと感じました。