れん

ベネデッタのれんのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.8
凄まじい勢いで迫り来る漲る生命力を浴びる。ポール・ヴァーホーヴェン監督最新作にただただ圧倒される、心を鷲掴みにされる映画的興奮と喜びがこれでもかと詰め込まれている。またしても強靭な作品が生み出されたことが嬉しい。攻めた過激な描写の数々に驚き戸惑いつつも、雄弁に語る映像と誠実に真面目に人物、人間を描き出す見事さ。ベネデッタの嘘も誠も味方につけながら逞しくも滑稽に気高くも愛らしく色んな側面を見せつけながら立ち振る舞う姿に目が離せなく見所が多い。様々な欲望のレイヤーが何層にも重なり合うスリルと衝撃、儚さと愛しさが浮かび上がる物語の深み。どこまでが現実なのか妄想なのか分からない曖昧な境界線の行き来がなんとも奇妙で不思議な爽快感すらある後味。
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