草月流の創始者である父・勅使河原蒼風による彫刻の展示映画。
男たちが大きな木のかたまりを運んでいる、そして筆で書かれた躍動感のあるタイトル「いのち」が一文字ずつ現れるタイトルバックのオープニングからまずカッコ良い。
蒼風曰く、木に命が宿っているのは勿論のこと、鉄にも石にも命があり、人間が変容したり狂ったりする姿と同様に、木も時に様々な姿を現し、それが彼を夢中にさせるという。
野獣のように唸りをあげる、尖る、迫る、うねる、吠える、光る、刺さる、フラッシュバックするなど、アヴァンギャルドな作風で彫刻が映し出され、いのちが宿る様をまざまざと見せつけられる。音響使いがまた恐ろしくカッコ良い。
ラストシーンは蒼風が大きな1つの木のかたまりから、ノミと槌でまた1ついのちを削り出していく…。ものづくりの偉大さがよく分かる作品だった。