デニロ

殺されたスチュワーデス 白か黒かのデニロのレビュー・感想・評価

3.0
冒頭で、犯人が国外に出て行くシーンを映し出す。

製作当時の事件を題材にしているそうだ。BOAC英国海外航空のスチュワーデス殺人事件。猪俣勝人はこの事件に触発されて構成する。が、カトリックの一会派の外国人修道士を犯人としていたためにカトリックの縛りで公開期間は短かったようだ。猪俣は事件を、戒律を破り複数の女性を慰み者にしていたカトリックの坊さんと、神戸のカトリック系女学校を出てスチュワーデスになった女性との痴情の縺れとして描いるが、他の説に、実は、BOACは密輸事業を行っていて、スチュワーデスを運び屋としていた云々、殺された女性はそれを断ったので殺されたというものがあった。ふふふ、この謀略めいた説こそ保身のために大カトリックが撒き散らした謀略ではあるまいか。

警察は、外国人修道士を重要参考人として5日間の事情聴取を行う。修道士の陳述の裏を取るために街を歩く。その繰り返しの果てに、重要参考人は海外に出てしまう。同じように修道士の行跡を記録していた若き新聞記者の無念。当時の日本の国際的な地位をよく描いている。ここで終わるのかと思っていたら、なんとその後に外国人修道士が如何にして女性殺害に至ったかを描き始めるのです。これがまた裸のない日活ロマンポルノのような塩梅で、こんなのいらないだろう、原作脚本監督を兼ねる弊害の極みであると思ったものです。

そう思いながら本作を調べると、公開時期が短縮された後名画座等に降りてきた際のフィルムは終盤の冗長なロマンポルノ部分はカットされていたとのこと。それが95分バージョン。映画作品としてみるとそれが妥当なところだと思うが如何なものか。

シネマヴェーラ渋谷 あなたは猪俣勝人を知っているか にて
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