たまちゃん

ONODA 一万夜を越えてのたまちゃんのレビュー・感想・評価

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)
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戦後、30年間もルパング島に潜伏し、作戦を決行していた小野田寛郎少尉を描いた実話

この映画を観てからレビューを書けず、何日も経ってしまった。
「最後の一人となっても戦い続けていた小野田さん」という事くらいしか知らなかったので今回wikを見て、現地の人をたくさん殺していたこと、ラジオを聞いて日本の発展を知っていたこと、仲間が72年まで生きていたこと、など初めて知った。

小野田少尉のほか、一緒にいた仲間達、赤津、島田、小塚、この3人のことを思わずにいられない。
小野田少尉は「玉砕はまかりならぬ、何年経っても必ず迎えにいくから、ヤシを食べてでも生き延びて任務を全うしろ」と命を受けていたし、司令部の機密情報も知っていたわけだから、信念に基づいて行動していたのは理解できる。
しかし他の3人は、普通の一市民。
その時の戦況を冷静に判断し、決断できる人が上官ではなかった悲劇を思わずにいられない。
日本不利の戦況を知っていたのだろうから、「war over」の言葉を聞いたり、投降を呼びかける声を聞いた時に、現況に疑いを持つことはなかったのだろうか。

「歌くらい好きに歌らせて下さい」
「私達は何と戦っているのですか」
この台詞を上官に向かって言った赤津が一番人間らしいと思った。

戦争下の極限の状態では、疑うことなく命令を信じ、行動するのが一番なのだろう。
もちろん平和の世に生まれ、戦争も知らない立場の私が、何か言うのはおこがましいと思う。
決して、彼の信念を否定するものではない。

安眠することもなく、満足な栄養も取れず、薬もないような状況下で何年もジャングルで生活していたのに、91歳まで生きた小野田さん。
不屈の精神力と強靭な体。
ゆっくり眠ってほしい。
たまちゃん

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