さとちゃん

梅切らぬバカのさとちゃんのレビュー・感想・評価

梅切らぬバカ(2021年製作の映画)
3.7
終わり方、あっさり…?って思ったけど、このストーリーが淡々と流れる日常を切り取ったような感じなので、逆にそれでいい。

塚地さんの演技が上手いですね。久しぶりに塚地さんのお芝居見て驚きました。

加賀まりこさんの、母は強し。でも強い母にも寂しい瞬間はある、強い女性の中にある人間的な部分に触れられて、よりリアルに母親の気持ちに触れられた気がした。

自閉症の人、その人に関わる人々と、その周囲の目線、どちらも感じられる描き方でこの問題は難しいよなと心が痛みました。
自身にも身近に発達障害の人がいるからちょっとつらかった

正直なところ、周辺住民の意見もわからなくないけど、それだけ否定されると、障害を抱える人たちも同じ場所で生活しているだけなのに、なんで?って思ってしまった

梅切らぬバカ…余計な葉や枝がつく梅は剪定をし、丁寧に大切に育てないといけない。それをしないことを戒めることわざ。劇中の梅の木は、通行人の邪魔になるくらい通路にはみ出ていた。息子のちゅうさんが剪定を嫌がるから切れない。ちゅうさんには梅の木がお父さんの代わりに見守ってくれると伝えていた。

ちゅうさんがぎっくり腰になって介抱しようとした珠子さんが、私がいなくなったらちゅうさんは1人、生きていけるのかと心配する姿、ちゅうさんを自立させるために施設でお世話になる事を考える姿、施設でお世話になると、珠子さん自身が家で1人になる、その悲しみなどさまざまな感情が内包された表情でしんみりしてたら、ちゅうさんのお嫁さんが欲しいと言う発言でどこかほっこり…

梅の木はつがいの木がないと実がつかないなのに珠子さんの家の梅には沢山の実が付いている。剪定もしてないのに。
無駄なものを排除しない、障害を抱える息子を切り離したりせず、手はかかるけど、愛情を込めて、自由に育てた。そしてみんなから愛されるちゅうさん。お互いにきちんと向き合う事でわかる事だって沢山ある。向き合う前に、固定概念や印象にとらわれることはよくない。最初はかなり嫌悪していたお隣のお父さん。息子、奥さんの家族経由で向き合えた事で、少しずつ理解、歩み寄る事ができた。

リアルな表現がいい
さとちゃん

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