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グレート・インディアン・キッチンのsanchangのレビュー・感想・評価

3.6
韓国だと「はちどり」や「82年生まれ、キムジヨン」、日本だと「あの子は貴族」で描かれている女性の生きづらさがテーマのインド映画。日本なんかはある程度アップデートされてる部分もあるので「あの子は貴族」のようにある意味洗練された映画になるのだと思う。ただしこの映画はインドの社会が我々の価値観からは考えられないレベルで男性優位であり、非科学的な宗教をベースとしているので、女性の当たり前の生活を描くだけで強烈なシーンの連続となっている。
序盤、これでもかと反復する調理シーン、美味しそうなご飯が次第にそうは見えなくなっていく。食べかすをテーブルに落としまくる夫と父。その掃除は全て女性。「お前がやれよ」と何度思ったか分からないが、そう思えることも当たり前ではないのかもしれない。例えばいつもテーブルに座って何もしない私の義父なんかはこの映画を見ても一切フラストレーションがたまらない可能性もあるなと。
主人公は耐えきれなくなり、クライマックスで爆発し家を出てダンスの先生の職を得て新しい人生を手に入れるが、実際のインドでは男性たちが彼女を社会的に抹殺したり、暴力の対象としたりする可能性もあるのかなーなんて思ったら絶望的な気分になった。
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