Q10太

パリ13区のQ10太のレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
5.0
【試写会鑑賞】
テロップの出方がもうかっこよいし、モノクロの映像が美しくてとてもよい映画で感動。

尊厳と適材適所というテーマを感じた。恋愛やセックスに特化して見るのはもったいない。

恋愛は対象と2人の事だけど、日々それだけじゃないじゃない?

並行して家族や仕事、勉強したい時間とセックスの時間との調整とか、友人や過去関係があった人との友情とかさ...そういう生活が丹念に描かれていた。恋愛中の嫉妬や不安、本命の相手には見せられないのに他の人と自然体でいられる時間とかも。

短いシーンで多くの事を伝えてくれるオディアール監督のよさと脚本や原作の組み合わせで現代的ですごく面白くなってたんだと思う。

ルーシーチャンの登場シーンや原題のLes Olympiades(レ・ゾランピアード)の建物で13区っぽさをバーンと!説明長くないとこもgood

ルーシーチャンのダンスのシーンとアンバースウィートの優しさ好きだなあ。

ラストよかったと言えばよかったけどこの結末じゃなくても好きだったと思う。素晴らしかった。

★ずいぶん時間が経って、モノクロには人種を排除する力があると思った。ただ同じトーンの濃淡になる。

13区のエリアも実際より美しく見えている。

人種の事を劇中話すようなキャラクターが登場しない事でよりリアルな生活に比重がおかれてる。一瞬旅行で見ただけだけどあのエリアの持つ自由さ、偏見のなさはこうなれたら!と感じさせるものがあった。

自分自身でも人種や文化の話をする事は瞬間的であって人とわかり合うのはそれは関係ないところで繋がるもの。

燃ゆる女の肖像を後から見て、セリーヌシアマがこの作品ではLGBTQだけに留まらないボーダーの昇華も感じた。

と、またこの映画が好きになった。
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