みやび

依存魔のみやびのレビュー・感想・評価

依存魔(2019年製作の映画)
4.1
ベルギー闇の三部作最終章

『変態村』『地獄愛』『依存魔』という邦題の並びで既におもしろい。こんなにもあからさまな邦題あんまり出会えない。

さすが最終章、かなり面白かった。

人里離れた森の中にある精神病棟で働く母親と一緒に暮らしている主人公・ポール。
彼は自然や生き物を愛する心優しい孤独の少年。
ある日ポールは重度の精神病患者としてやってきた美しい少女・グロリアに一目惚れをしてしまう。
何度も何度も脱出を図る彼女を助けるため一緒に精神病棟を抜け出し、彼らの狂気的な逃避行がはじまる──

三部作を通しての共通のテーマは「愛」。
まあ、タイトルで察しがつくがごくありふれた恋愛ドラマ仕立てではない。
とは言っても実は普遍的な愛を描いていたりもする。
嫉妬、依存、愛しているからこその受容。
物語にする上で誇張されてはいるものの、よく見てみれば誰にでも経験のある「愛」だったりするのかもね。

グロリアの圧倒的美貌とそこから繰り出される狂気的な言動の数々。
穏やかだったのに突然として発狂し始めるのだから、観てるこっちはずーっとドキドキ。
彼女が画面に映るだけで緊張感がはしる。

張り巡らされた緊張感、何が起きてもおかしくないという不安感、大自然の中にたった2人だけという閉塞感。
この中で2人は愛を育んでいき、ずっと離れないことを誓い合う。

無垢で孤独な少年は、愛する少女とともに、楽園を目指す。
何が本当のことなのか、もしかしたら全部が嘘なのかもしれない。
でもこの気持ちだけは本当のこと。
少年は少女を信じ愛を注ぎ続ける。

恋は盲目。

まさにグロリアは依存魔。
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