とうがらし

ボー・バーナムの明けても暮れても巣ごもりのとうがらしのレビュー・感想・評価

3.3
「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」のボー・バーナム監督が、コロナで巣ごもりになっていた時の自撮り作品。

自撮り作品と言っても、そんじょそこらのものと違った。
多芸すぎて泣ける。
躁鬱状態まで演技に見えてしまう。

これまでにも、精神的に追い込まれた映画監督が自分を撮った、
キム・ギドク監督の「アリラン」
ジャファル・パナヒ監督の「これは映画ではない」
園子温監督の「俺は園子温だ!」
などがあるが、念仏的なものや陰鬱なものにならず、こちらはかなりポップ。
まだまだ未来ある、機材を潤沢に持った若者だから、実は楽観的?
半分ジョークにみえた。

「僕を見て」
1990年生まれの監督の、リアルSNS世代ならではのセリフ。
「もう僕は大人」
って言ってるけど、まだまだ十分31歳児の子ども。
年老いたら、何があろうと、大切なものが次々零れ落ち、沈黙と向き合うことになる。
それが彼の眼に、ネガティブに映るうちはまだ子ども。

孤独と向き合いながら、自我をなんとか保って、たまにナルシストが入りながら…いや、かなりナルシストが入りながら、こつこつ一人で作っていたのかと思うと泣ける。
まあ、自撮りを世に出す人は大体ナルシスト。
映画監督は特に。そうじゃなきゃ、自分で物語は紡げない。
そうだよな…映画監督って、みんなを楽しませてなんぼの世界だ!
って、こんなに芸達者な映画監督はあまりいないぞ!
もはや、ハイパーマルチクリエイターじゃん(笑)
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