そう

マッシブ・タレントのそうのネタバレレビュー・内容・結末

マッシブ・タレント(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ハビかわいい。

原題は"The Unbearable Weight of Massive Talent"で、日本語に訳すと「巨大な才能の耐えられない重さ」。何かそんな映画ありましたが、町山さんによるとパロディーだそうです。

映画は物語である時点で文学の一種ですが、そこに書いてある文字は人間の行動から浮かび上がるのだと思います。そうでなければ実際芝居をする役者が違和感を感じてしまう。
ニックとハビは極端かもしれませんが、漫画でヤバいキャラ描いてるときヤバい顔になってるってアレです。
実際に動いてみてしっくりきたシーンを脚本に起こしていく。LSDキメてるから心が子供に戻ってる気もしますが、映画作りにはあれだけ無邪気にはしゃげるおっさんが必要だと思います。思春期の娘には存在が耐えられないでしょうが…。

「他の仕事なら真面目に働いてても何も言われないのに、俳優が出続けてると働きすぎだと言われる。こっちはこれで家族を食わせてんだよ」って台詞が良かったですね。家族持ちのベテラン俳優みんな共感するんじゃないの?
俳優だって職業の一つ。労働だと思ってやってきたけれど、もう一人の自分が満足しない。その葛藤。
あの若ケイジ凄いな。別の俳優が演じて顔だけすげかえてるとしても…グロテスク笑


才能がある俳優とはどういう人の事をいうのだろう。

シン・仮面ライダーのドキュメンタリーを見てから考えている。詰まるところ映画は監督が画の繋がりを考え、俳優が感情の繋がりを考えることで出来上がっている。監督はどっちも考えるし責任を持つんだけど。

俳優=シーンごとの感情の繋がりを意識しながら演技をして、物語を生み出す人。と定義すると、確かにニックには才能がある。
特に最後、ルカスを刺すときの絶叫。あの叫びが観客の感情を動かすのは、そこに感情が乗っているから。そしてあのカットまでのシーンの積み上げが効いているから。
ということは感情の発露の加減も重要になる。池松壮亮の芝居が仮面を被りながらでもあんなに心情を映すのも才能。有村架純が号泣でなく無言で頬に涙を伝わせられるのも才能。
そう

そう