H4Y4T0

戦場のピアニストのH4Y4T0のレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦中にドイツ軍の占領下にあったワルシャワを舞台に、ポーランド人のピアニスト「ウワディスワフ・シュピルマン」の後半生を作品のモデルとして描いた半自伝映画。

ナチスドイツの侵攻によって、ユダヤ人が迫害を受ける。この手の作品は過去に幾つか鑑賞してきたが、本作は過去に例を見ない類の慟哭を感じさせる作品だった。
「戦争」に対する怒りや憎しみは素より形あるもの全てが理不尽に奪われてゆく絶望感からの虚無感など、ありとあらゆる情感を取り入れた演出が素晴らしい。

悲観するのも虚しく完全に孤立無援となってしまうが、まさかの展開にようやく本作のタイトルの意味を知る。
エイドリアン・ブロディの華奢で弱々しい容姿と病んだ立たずまいがそのまま演技に反映されているので変な違和感とかは無かった。
哀愁を誘うピアノの旋律が心地よさを奏で、同時に戦争の物悲しさを語る。シュピルマンに救いの手を差し伸べたドイツ軍将校ヴィルム・ホーゼンフェルトの台詞が全てを諭しているようにも感じた。
どことなく漂う”後味の悪さ”も含め、思わぬラストに衝撃が走る名作。
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