Harutaco

くじらびとのHarutacoのレビュー・感想・評価

くじらびと(2021年製作の映画)
4.0
群青の海に鮮やかな赤い血が広がる場面は圧巻だった。人間がちっぽけな存在であること、そしてだからこそ、力を合わせること、知恵を蓄え思考や思想を深めることで、生存が可能になってきたのだと思わされる映像だ。

将来は海で働きたいという息子に対し、父母そろって、学校に行きなさい、進学しなさい、という言葉がひっかかった。これからこの村はどうなっていくのだろうか。

このドキュメンタリーは鯨やマントと人間の関係に焦点をあてていたけれど、さらにこの村そのものがどのようになりたっているのかも気になった。作物は取れないというが他の生業もあるはずだ(小規模な豚の飼育や塩づくりの場面はあった)。貧しい人や未亡人には鯨のお裾分けが与えられるというので、社会保障的な制度もあるが、貧しい人がいるということからは、経済的に平等な社会というわけではない。くじらびとたちは社会的経済的にどのような地位なのだろうか。
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