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流浪の月のnanakamiのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.2
2022年18本目
原作未読。
完成度がとにかく高い。妥協を許さないストイックさを感じた。
全カットため息が出るほど美しい...と思ってたら、美術監督が種田陽平さんだった。
俳優陣の演技も素晴らしく、感情の機微をとても丁寧に表現されていた。かなり細かい所作まで、言葉では表せないその役の内面を表現するものになっていて魅入ってしまった。
広瀬すずには正直期待していなかったのだが、あの美しい世界に見事溶け込んでおり、心の中で拍手した。

松坂桃李も期待を裏切らない素晴らしさ。しかし、19歳の文は19歳には見えなかったな。

亮はどうしてDV野郎になったのか。おばあちゃん子みたいだし、父母との関係に幼少期問題があったんだろうか。
世間では社会的地位を確立しているらしい亮君は、人が離れる裏切られる恐怖でいっぱいだった。
亮の人生も何があったのか闇が深い。映画だけだと読み取れなかった。

不幸を背負ってしまった者たちが、なぜかこうして集まってしまうのも、共感できる。類は友を呼ぶもので、お互いで心に空いた穴を塞ぎあっている。

幼少期更紗が、真っ白の服を着てケチャップを食べるシーンは、更紗が女性として変化していくことを表していたのかな。
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