キューブ

GONZO〜ならず者ジャーナリスト、ハンターSトンプソンのすべて〜のキューブのレビュー・感想・評価

4.5
 この中では真実の彼はほとんど描かれない。強いて言えば、年老いて物を書かなくなったときぐらいか。自ら作り出した「GONZO」という枠組みから抜け出せなくなり、成功と失敗を経験した人物の物語である。この中で彼はGONZOとしての自分である「デューク」であり続ける。デュークは口汚い、ヤク中の銃愛好家である。それだけでも如何に彼が変わったジャーナリストであったかわかるだろう。でも、彼が人々を引きつけたのは「デューク」の側面だけではなかったとこの映画は言っている。トンプソンとしての優しさや愛情、弱さを兼ね備えるからこそ彼はカリスマ性のある「GONZOジャーナリスト」になれたのだ、と。そして自分の好きなように生き、死ぬときでさえも自ら決めたトンプソンの波瀾万丈の人生そのものが人々を永遠に引きつけているのだ。
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