たんぐすてん

沈黙のパレードのたんぐすてんのレビュー・感想・評価

沈黙のパレード(2022年製作の映画)
3.9
視聴通算325作目 2022/222作目、映画館鑑賞52作目 2022/9/18 映画館


パンフレットで原作者の東野圭吾が湯川の敵が毎回誰なのかを考えると言っていた。
「容疑者X」では"天才"「聖女の救済」では"女"「真夏の方程式」では"少年"「禁断の果実」では"弟子"だと。
今作はなんだろうとパンフレットの先を読む前に考えた。
アガサクリスティの名作、「オリエント急行殺人事件」のように被害者と登場人物がなんらかの関係があり、どうなるのか先が一切読めない「沈黙のパレード」は湯川と"菊野の住民"もしくは、ある意味で"親友の草薙"との争いであると考え、パンフレットを読み進めると、"普通の人々"とあった。普通の各人々にドラマを作ることで物語に重厚感を持たせ、小説版では最も長い作品になったのだと書いていた。自分の考えを曲げる気はないが、たしかに普通の人々だと思い直した。

「真夏の方程式」とシーズン2のドラマの時に感じた違和感がやはり「相棒が誰か」であると確信した。
今作の相棒は、確実に北村一輝演じる草薙である。もちろん柴咲コウの内海くんが最強タッグとして再演しているのはとてもアツいが今作と特別ドラマの「禁断の果実」に関しては草薙が相棒であった。

ストーリー面では少し複雑で朝イチで脳をフル回転させながら見た。
難しかったけど完成されていてすごくよかった。
今作で思ったのはやはり、犯罪は悪いことだというのは百も承知だが、その加害者側にも理由がある場合があるということ。
それから、吉田羊の「偽証罪はあるけど、沈黙罪はあるのでしょうか?」という言葉と田口浩正の「警察の捕まえられなかった思いと被害者の思いは違う」という言葉。心に重たくのしかかってきた。
黙秘権は、無理矢理警察が嘘の供述をさせないために作られた権利だが、悪用される場合もあるので慎重にならなければならない。そして、どんなに証拠が揃っていても、こいつを犯人だとワンピースってわかっていても、黙秘を続けられれば釈放せざるを得ない。そこが司法の難しいところ。

やはり内海薫と湯川学のコンビは最高で、ガストで話しているシーンでは心なしか湯川先生が口に笑みを浮かべていて見ているこちらとしてもすごく嬉しかったし、懐かしさが戻ってきた。