TP

ブレードランナー ファイナル・カットのTPのレビュー・感想・評価

4.5
★1986年、2001年(ディレクターズカット)に続き3回目の鑑賞★

 いくつものバージョンがある「ブレード・ランナー」。「ファイナル・カット」での主な変更点は、①「幻の高画質の特撮シーン」と言われたシーンが完全再現、②ラスト近くの鳩が飛び去るシーンの風景が青空から曇りの夜空へと変更、③エピローグシーン(デッカードとレイチェルが逃亡する映像)の復活※ディレクターズ・カットとの相違

 ①及び4Kマスター版鑑賞により、近未来映像の精巧さ・緻密さが良くわかる。それも相まって、全編を通じて、大小さまざまのセットや映像の雰囲気などすべてが、この映画の世界観を完璧に表現している点がやっぱりすごい。

 デッカードはレプリカントか?という分析はかなりなされているのだが、今回の19年ぶりの鑑賞では、これを肯定したいと改めて感じた。
 「ディレクターズ・カット」で挿入されたユニコーンの夢が大きな要因ではあるが、それ以外にも、なぜかブレードランナーを統括する警部らとのやり取りがほとんどなく、デッカードが全く孤立している(人間的やり取りが少ない)。デッカードの部屋にある昔の写真の数々、それにも関わらずにデッカード自身の身の上話は全くない。「レプリカントの検査を受けたことがあるの?」とレイチェルに聞かれ、不自然に黙殺するデッカード。などなど、その設定のほうが理解がしっくりくると個人的には思う。

 何はともあれ、ルドガー・ハウアーの悲哀を持ったレプリカントの最期も、ヴァンゲリスのスコアも素晴らしいし、やっぱりSF映画の金字塔という評価は間違いないと思うのでした。
TP

TP