あたた

最後の決闘裁判のあたたのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.5
決闘で勝利したものが真。この様な裁判が行われていたことに驚き。

三者の視点から語られる映像は少しずつセリフや動作に違いがあるも、話の大筋にさほどの変化はない。それでも表情変化を映すカメラ角度やセリフの間の使い方の違いなどで、見えていなかったものが見えてくる。そこら辺の映し方が非常に上手かった。途中から微細な表現を見落とさないよう必死で、150分の長尺を感じさせられなかった。決闘のアクションシーンも見応えあってよい。

話の主人公は夫人マルグリットで、被害を訴えただけで自身の命までも審判にかけられる。男性にとっての利害という関心のみで扱われるマルグリットの立場は見ていて心苦しい。一見不条理な過去の時代を映した映画のように思えるが、昨今世界を震撼させているハリウッド業界の悪事に見られるよう、現代にも蔓延る事態であることを反映していると思われる。声をあげることが女優生命を脅かすことになるため、これまで明るみに出ることはなかった。決闘裁判のような状況は過去の遺物とあるべきで、これが”最後”であることが願われる。
あたた

あたた