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最後の決闘裁判のayellowbirdのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.0
リドリー・スコット監督が、マット・デイモンとベン・アフレックの脚本を映画化した歴史ミステリー。1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の“決闘裁判”を基にした物語を描く。
騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた“決闘裁判”に委ねられる。勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は罪人として死罪になる。そして、もし夫が負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑を受けることに。人々はカルージュとル・グリ、どちらが裁かれるべきかをめぐり真っ二つに分かれる…。

リドリー・スコット監督の深みのある演出に唸らされる作品! 決闘裁判に至る経緯を、カルージュ、ル・グリ、マルグリット、それぞれの視点で再現する形で物語は進行。カルージュ、ル・グリの視点は、騎士として生きる二人の生立ちや立場の違いを浮き彫りにし、その個性を際立たせる。ただ、そこにマルグリットの視点が加わることで、中世フランスという時代に翻弄された女性の姿が浮き彫りになる。物や土地と同じくマルグリットの“所有権”を巡って争う二人。そんな己の名誉のために闘う男たちを、やや冷めた目で見つめるマルグリットに封建時代の女性の強かさを感じた。
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