【鬱々とした不気味映画】
◾️あらすじ
アイスランドで羊飼いを営むマリアとイングヴァル。ある日飼育していた羊から頭から右肩、右手にかけて羊、その他は人間という子供が産まれる。
夫婦は幼い娘を亡くしており、羊から産まれた半人半獣の子供を天からの授かりものだと喜び、娘と同じアダと名付けて育てることにする。
◾️感想
北欧映画独特の静かで鬱々とした雰囲気はとても好みだった。
この映画、どう落とし前を付けるのかと興味深く見ていたらまさかの展開。
それは想像できなかった…。
主人公がマリアであることや、十字を切るシーンが出てきたり、頭が羊、胴体が人間といったサタンを彷彿とさせる生き物が出てくるなど、キリスト教的モチーフが散りばめられているものの、実はギリシャ神話がテーマにあるらしい。
ギリシャ神話で半獣人といえばパンが思い浮かぶ。パンは牧羊の神でもあり、音楽好き。
そういえばマリアの夫イングヴァルの弟は元バンドマンだし関係ありそう。
それにサタンの様相は元々パンをモデルとしたとも言われている。
主人公夫婦の勝手な想いで育てられるアダだが、人間でもない羊でもない…自分は一体何者なのかと葛藤する。
母羊から子供を奪い、奪い返され、そして最後マリアは子供を授かり、アダを探すのをやめるわけだが、全て人間のエゴが中心となって物語が進む気持ち悪さがよく描かれていた。