あゆみ

ずっと独身でいるつもり?のあゆみのレビュー・感想・評価

ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)
3.2
女のリアルさ、さまざまな女。
女の話を描くときに、男の存在が必要不可欠であることを、ストーリーやキャラクターが秀逸だからこそ、苦しくなりながら感じた。

女を「弱くしたい」社会の縮図、弱くさせられた女は名前を奪われ、力を奪われて、社会から透明にされる。透明になりたくないのならその先には恐ろしいもの(この作品ではそれを孤独死と表現していた)が待っているぞ、と社会は常に女を脅迫する、そういう構図が描かれていて、強くあろうと、透明にされたくないとする、常に社会から都合の良い時以外は透明化されてきた女のための物語だった。

いちばん恐ろしく感じたのは、藤井隆演じる司会者が、良い父親であり良い夫であり彼もまた芸能界、社会というものと闘っている良き男性であるということを示唆されたこと。
そういう善良な隣人でさえ、女を消費することに加担して生きているのだということは、公平や彩佳の夫のようなあからさまな男よりもずっと怖いと思った。

一点、不満な点を挙げると、男の解像度が女に比べて低くて、「こういう特別変なやつに絡まれた特別可哀想な女たちの話」に解釈されそうだな、と感じたところかな…
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