こもも

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のこもものレビュー・感想・評価

5.0
もう何回見てるか分からない 人生で一番見ている作品だと思う。
子供の頃テレビの再放送を家族で見ていた時、普段涙を見せないプライドの高い父が、ひろしの回想シーンのところで、静かにテッシュで目頭を押さえていたのを覚えている。
どこかのコメントで「子供の付き添いで嫌々見に行った大人達が、揃いも揃って号泣した伝説の映画」みたいなのがあったけど本当にこれに尽きる。風間くんが冒頭で「懐かしいってそんなにいいものなのかなあ」と言っているように子供達には“懐かしい”と言う感情は分からないけど、大人達にとって、過去は もう二度と戻ることができないかけがえのない時間。
子供の頃はこんなのありえないって思っていたけど、“懐かしい”っていうただそれだけの感情が、この二十世紀博のように、大人達の心を裕に奪うことができる、危険なほどに影響力のある感情だと、大人に近づくにつれ思えてきた。
その“懐かしい”っていう感情を“匂い”に置き換える発想がまたすごいよね。

グッとくるポイントは本当に沢山あるけど、私的一番は、序盤のケンとチャコが夕日町の商店街を歩いているシーン。「白い色は恋人の色」が流れて、その心地よさとノスタルジックな商店街の風景に思わず涙が出そうになる。夕陽町銀座商店街の看板が出てくるシーン、あれ本当にどうなってるの?動きリアルすぎてすごくない??

二人の会話もすごく感慨深くて、
「今の日本に溢れているのは汚い金と燃えないゴミくらいだ」
「外の世界の人は心が空っぽだから、もので埋め合わせしているのよ」
その通りだな〜と思っちゃうのがまた悲しい。あんなに待ち焦がれていた二十一世紀、蓋を開けてみれば、要らないものばかり作って醜くなった世界。あの頃に戻りたがる二人の気持ちがよく分かるからこそ、すごく思考的な映画だなあと思う。

何回も見てるからこそ分かることは、最後東京タワーを駆け上がるシーンで、ヒロシが、ケンとチャコが乗っているエスカレーターを食い止めた時に「家族がいる幸せをアンタ達にも分けてあげたいくらいだぜ」って言ったところで、今まで冷静に振る舞っていたチャコがいきなり過剰にキレるところから見てチャコは不妊症かか何かなのかな〜とか思う。今までも「家族」って言うキーワードに敏感だったし、二人は結婚はしてないから。こういう悪役が悪役じゃない、人間味があるところも凄く好き。チャコ、可愛いし。。
そんな二人が家族の絆って言うか暖かさを見て、過去に止まらずに、今もどこかで生きているでしょう。っていうオチ含めて、本当、満点だよね。。

近代化が進んで、色々なものが電子化、機械化されて、人の温かみが省かれていっている気がするけど、こう言うノスタルジーで情緒的なものも、忘れてはいけないと思わせてくれる。傑作(長! 
こもも

こもも