あいく

THE FIRST SLAM DUNKのあいくのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.7
観終わった後にまるでテストステロンの分泌を感じられるような映画は初めてだった。

「王道」。
個人的にはスポーツにあまり馴染みがないので、「コート」というシチュエーションでのチームバトルものとしての見方になるが素晴らしかった。
これは原作・脚本・総監督である井上雄彦氏の力によるところが大きいと思う。
物語の運びとしてそれぞれのメンバーのバックグラウンドを差し込むタイミングも完璧で、そこからゲームを動かしていく様子は最早「覚醒」と呼ぶに相応しい。
ド直球の「団結」(チーム、ライバル、友情、家族)の描き方も正統派として圧巻。
少年の成長と葛藤からなる、ある種の荒っぽさや猛々しさ、だけど繊細なところも感じたのが印象的だった。
そして作画スタジオのダンデライオンによる井上氏のタッチを3Dアニメで自然に仕上げた手腕も大変よかった。
また、演出という意味では音楽も欠かせない。
ストーリーの起伏にマッチした曲調、そしてタイミング。観客の感情導線として盛り上がるべき時にちょうどいいものを与えてくれる。
平成初期の少年ジャンプスポーツ漫画として、「かっこよくて熱い」のお手本というものを教えられた気がする。
これを素直に受け止められるマジョリティへの帰属感はやはり強いと思った。
あいく

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