杉浦

パリ、テキサス 2K レストア版の杉浦のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

まさかの貸切
ヴェンダースが撮るショットがあまりにも美しく、思わずため息が出てしまう事も何度かあった。ハンターが公衆電話を利用する夕暮れを見直す為だけでももう一度見たい。
印象的だったシーン
・8mm映画のシーン。ジェーンの美しさ、トラヴィスとハンターの仲睦まじい様子が描写されるからこそ、その光景が「失われたもの」である事が強調されていた。スクリーンを通して眺める各々の表情も繊細で良かった。
・トラヴィスが車道越しにハンターと帰宅するシーン。暫く歩いた末にトラヴィスから近づく点に、トラヴィス自身の心情が序盤から変化していることが窺える。2人の心の距離の接近が車道を跨ぐ物理的な距離の接近で実感できるのも良かった。
・トラヴィスとジェーンが再び対面するシーン、遂にお互いが顔を見て向き合う所まで来たのに、近づき過ぎると均衡が崩れかねない人間の不器用さといったらもう!2人がマジックミラー越しでしか対話しない事こそが、2人の距離の限界、不可能を示しているようで切なかった。
杉浦

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