相模ねこ

硫黄島からの手紙の相模ねこのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
3.0
【日本人は何と戦わされていたのか】
モノクロに絞った映像からは、硫黄島の砂がべったりと肌に張り付くような不快感と、乾きが伝わる。
「アメリカ人=悪」「国の為に殉ずることが尊い」といった数々の刷り込み(洗脳とはいいたくない…)に頼った、空っぽの戦いの虚しさよ。
死んだアメリカの捕虜を見つめる日本兵たちは何を思っていたのだろうか。少なくとも「敵が死んだ!やった!」という喜びはないだろう。
彼らは愛する人との生活や、生きて戻るという約束を捨ててまで何と戦ってたのだろう。

父親たちの星条旗も同時に観たが、姉妹作品という視点で評価すると、正直微妙。
父親たち〜の方では、戦時中の国内の様子が細かく描写されている為アメリカという国の戦争への考え方が分かりやすかった。
比べて今作はほぼ末端の兵士の心情のみの為、日本という組織が何故ああいう行動を取ったのかが分からなかった。
ただ、だからこそ何故戦うのかわからないが戦わされている、という日本兵独特の悲惨さはより色濃く伝わった。
相模ねこ

相模ねこ