だいき

ナイトブックのだいきのレビュー・感想・評価

ナイトブック(2021年製作の映画)
3.7
怖くてハッピーエンドな物語。

子どもを主人公にした子ども向けファンタジーホラー。
主人公の少年はホラーを創作するのが大好きな子だが、ひょんなことから冷酷な魔女に誘拐されてしまい、毎晩オリジナルの怖い物語を披露して満足させないと酷い目に遭うという境遇に追い込まれてしまう。
子どもが魔女に誘拐されて恐ろしい目に遭うというのはスタンダード。
しかし、本作はそれ以外の恐怖も襲ってくる。
第一は謎の透明ネコ。
「スフィンクス」という品種の毛のないネコも実際にいるが、このレノーアは不気味さ満点だった。

続いてヤズミンが管理する菜園に登場するシュレッダーという謎の生物。
見た目はシャカシャカと動く無脊椎動物みたいな感じなのかと思ったら、顔だけゴーストライダーみたいな凶悪さ。
終盤も徹底して童話をおちょくるような展開が連発で、ダークなユニコーンの登場はふざけまくっていた。
もう童話なのか、悪趣味クリエイターの脳内妄想なのか滅茶苦茶なシーンの連打。
ちなみに魔女のナターシャもクリステン・リッターの見事ななりきりでキマっていた。
魔法で若々しさを保っているという揶揄いが成立するのもクリステン・リッターの魔性さあってこそ。

本作で最も悪趣味だったのは、ビジュアル的なショッキングさではなく、物語の軸となる「創作」にまつわる要素。
魔女に怖い物語を毎回披露しなくてはならないだけではなく、加えてナターシャも怖い物語に対して容赦なく批評してくる。
死神はペットなんて飼ってないとか、吸血鬼の牙は生えるのに丸2日かかるとか、正直どうでもいい批評コメントも多いが、とにかく初心者クリエイターのアレックスにはその批評がグサグサ刺さり、動揺してしまうのも無理ない。
ただ、ラストは清々しい物語に着地。
まさかこんな爽やかに終わるとは。
創作に悩んだら魔女に批評してもらいましょう。
だいき

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