miwka

死刑にいたる病のmiwkaのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.9
阿部サダヲ岡田健史主演、白石和彌監督最新作。
連続殺人を扱う作品とのことで、ミステリー好きな私としては大変楽しみにしていました。

刑務所の中の猟奇殺人犯の指示で犯人を追う主人公が、犯人に心も操られて自分を見失いそうになる…という点ではやはり思い出すのは「羊たちの沈黙」。
阿部サダヲさんの怪演ぶり、特に笑顔が人懐こく、殺人は無表情な所が恐ろしく、アンソニー・ホプキンスを思い出した。
面会室での緊張感ある演出も興味深く、岡田健史くんの表情の変化にドキドキした。
面会室で2人が対峙する場面が印象的だったのは「凶悪」。境界線が曖昧になり、闇に取り込まれそうになる演出がすごかった。アクリル板に相手が写って、重なって見える場面はゾッとした。

残虐描写にはところどころ目を背けてしまったが、それほどに迫力満点。
帰り道に何度も自分の爪を見つめてしまった💦

帰宅後原作小説も読んでみた。
大きな改変はないのだな、と思ったが、主人公榛原の生い立ちが細かく書かれている所、また過去に実在した猟奇殺人犯達との比較が多い所は興味深く楽しめた。また残虐描写が少なめなのはやや意外だった。
勿論小説も面白かったが、映画の凝縮された濃厚な世界観はまさに白石和彌ワールドという感じで、完璧だなあ、と改めて思った。

今年映画館21本目
今年60本目
miwka

miwka