『羊たちの沈黙』のレクターとクラリスを彷彿とさせる、榛村と筧井。
冴えない大学生の筧井が連続殺人犯である榛村に「自分の冤罪を晴らしてほしい」と依頼され、捜査にのめり込んでゆく。
どんどんやる気になっている筧井の気持ちもわかる。
つまらない日常に降って沸いた連続殺人犯からの頼み事。
君は昔から優しかったね。君にしか頼めない。君といた時間だけが僕を人間でいさせてくれた。すごいじゃないか、警察もそこまで捜査できなかったのに。
全て筧井が親から言われたかった言葉である。だが全ては榛村の快感を満たすためのおべんちゃら。
それに気付き、最後は抗おうとする筧井と榛村の一騎討ちが見応えあった。
日常に戻ったかに見えて、最後、やはり榛村のコントロール化にあったと知る絶望が深かった。