Jonayama

古の儀式のJonayamaのネタバレレビュー・内容・結末

古の儀式(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

メキシコを舞台にしたエクソシスト系映画の亜種的な作品。
北欧系じゃないのにかなり呪術めいた正に古の儀式("Old Ways")が繰り広げられるのだが十時を切るのでやはりエクソシスト系でいいのだろう。
あまり見たことのないシチュエーションの映画だ。



子どもの頃に住んでいた村で病気の母親が貧さゆえに薬を買えず、悪魔祓いの儀式のみでの治療をされた末に亡くなってしまい、村から引き離された過去を持つクリスティーナは悪魔などの存在を信じていない。

年を経て危険な場所を取材するジャーナリストとなった彼女は故郷の従姉妹の反対を押し切り村近辺にある洞窟を取材する。そこは村の人々は決して近寄らない危険な"遺跡"で奇妙な現象を体験したクリスティーナは意識を失い救助される。
目が覚めると見知らぬ部屋に監禁されおどろおどろしい出立ちの"魔女(Bruja)"が現れた…



前述したようにメキシコの呪術めいた2020年の悪魔祓い映画で『グリーン・インフェルノ』で効果的に使われた不安感を煽る鮮やかすぎる緑を強調した美しい映像を強調したホラー作品だ。

古くから続く儀式にスポットを当てた作品は個人的に好きなので題材だけ頭に入れてあまり期待しないで観はじめたのだが映像をはじめジリジリと追い詰められていくような焦燥感を煽る良質なホラー映画で思わぬ収穫だった。
儀式を行う村で生まれ、一度は都会で暮らすも空虚な心を抱えて生きていた主人公が再び村に戻り紆余曲折を経て村での自分の役割を見つけ立場を変えて冒頭の展開に戻るようなラストへの流れは秀逸にして痛快。しっかりオチまでつけてくれた。

メタファーめいた場面が多く演出もやや焦ったいので人を選ぶ映画かもしれないがホラーらしくもある種のハッピーエンドと言える終わり方なので観終えた後の満足感はなかなか。
たとえ有名映画でなくともこうした個人的に満足のいく作品はあちこちに転がっているのでやはり色々なものを観るのはやめられない。

クレジットで気がついたが『ザ・リチュアル』でもいいホラースコアを書いたBen Lovettが本作も音楽を担当していて怖さの増幅に寄与している。
Bandcampでサントラ買おうかと思ったら666£とかいうおもしろいけど売る気0な金額だったので大人しくiTunesで買うか…
Jonayama

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