chi73

ある男のchi73のレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
ユウトと母リエ、親子の掛け合いが陽だまりのように温かい一方、マコトの過去は暗く冷たい。そんな彼にとって城戸が言ったように3年9ヶ月は人生の全てみたいに幸せだったんだろうなって、"悲しいより寂しい"と泣くユウトの言葉が 頭を豪快に撫でる安藤さくらさんの包み込む母性が ずっと頭に残ってる涙が止まらなかった。

間に入る工事の映像がずっと気になっていた。城戸の頭の中はあの騒音が常になっていて、何かを壊してはたまた作り直して正気でいるのかなと思わせる妻夫木さんの不穏な目が良い。

過去を棄てて塗り替えてまで建て直したい人生って、そんな瞬間自分にあったかなと振り返りながら帰路についた。答えは出ないしうまく感想を書けないけど、観た という証拠が残る、記憶に残る映画だった。
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