ある男の作品情報・感想・評価

『ある男』に投稿された感想・評価

顔。名前。経歴。国籍。絡みつくアイデンティティの呪縛から、脱け出せるのだとしたら。別人の名前で生きていた男の過去をめぐって描かれる、現代への問いかけ。ミステリ仕立ての物語に、家族の在り方や差別問題など複雑なテーマを組み込んだ、見応えある人間ドラマでした。マグリットの「複製禁止」を背にしたカットが秀逸。原作の場面を入れ替えたのも、映画としてラストを印象付けるためには効果的で良かったと思います。
mogu

moguの感想・評価

4.1
とっっても頭使った、、
でもおもしろくて、冒頭の絵の意味を理解した時うわああって思った
GAMENI

GAMENIの感想・評価

4.0
他人を名乗ることで自分を保つ。
私が映画好きな理由はここにあるかもと。
他人の人生を他人の感情を利用して体験することで、ズタズタの自分を守ってる感覚。

最後のシーンも妻夫木が不気味なんだけど、妙に納得できてここちよいカタルシスだった。
Yui

Yuiの感想・評価

4.0
凄く面白かった!
逃げられないバックボーンに苦しむ3人の「ある男」たちを描いた話。
話は暗く重く進んでいきますが、最後は光が当たるような感覚で終わるのが良い。
ワインのラベルのくだりが印象的。
中身が安物だとしても、高価なブランドのラベルを貼ればみんな買う。飲んでも安物とは気付かれないし、気付かない。
ではワインではなく人だとしたら?その答えをこの作品で問うているように感じました。
とにかく役者たちが素晴らしい。
koyaaa

koyaaaの感想・評価

4.6
ある男とは誰のことだったのか.

鏡.
鏡の男の絵画.
絵を描く男.
他人に逃避する男と他人として生きる男.
名前が持つ意味.

作品を通して配置される要素同士の対比が多用されていて面白い.

平野啓一郎の原作は未読だが、根底にあるのはやはり「分人」という概念で、それが他者との関係性において浮かび上がるのをみた.
ちょうど、自分が下の名前で呼ばれて違和感があったり、トラウマ的な体験が3ヶ月経っても残ってたりするタイミングだったから、重なる内容にズーンと来てしまった。自分自身の存在が揺らぐ。名前とは何か、戸籍とは、婚姻とは、自己同一性とは。名前が変わるだけで違う人生を生きれるのか。

今の自分の存在自体は、社会が取り決めてるだけで、確固たるものではない。しかし、自分が確かに生きていて、周囲の人と関わっていること自体は事実で確固たるものである。そうした時の、自分自身の姓名とは何か。姓が変わることで、その人の何が変わるのか。変わるだけ手間なら変わる必要はあるのか。

名前を変えなければ生きられないひとが居る。顔を変えなければ生きにくい人が居る。ならば、名前も顔も変える自由がある社会の方が良いに決まってる。その自由を得た上で、選択し、その責任を負うことだけが個々人に課されたこと。生まれや親族に縛られない社会の重要性を痛感させられる。

石川慶監督×向井康介脚本×妻夫木聡主演ということで『愚行録』が想起されるけど、全てのキャラに、より人間味とサスペンス味が増した感じがしたのは、ピオトル・ニエミイスキから近藤龍人に撮影が変わった効果だろうか。妻夫木聡や安藤サクラや柄本明はいつも通り凄いが、本作の窪田正孝は、特に凄い。

少しだけの出演時間ながら仲野太賀も河合優美も凄い。いわゆる客寄せのスターキャスティングをせずに、徹底的に役に合わせた俳優を当てる姿勢(当たり前であるべきだとは思う)は石川慶監督がずっとやってきたことだが、これだけメジャー作になっても継続出来ているのが素晴らしい。ヒットして欲しい。
SUGIBO

SUGIBOの感想・評価

3.0
2022年 205作品目


 ミステリーというより、
 ヒューマンドラマ。

 序盤、里枝が大祐に惚れた
 瞬間の顔。イイ。
 安藤サクラがすごく可愛い。
 キュンキュンしました。
 素敵な大人のラブストーリー。

 
 大祐が事故死。
 愛した夫が名前の判らない別人。
 ある男。Xになる。

 弁護士城戸がXの正体を調査。
 ここから、ミステリーの展開に進む。

 
 ゲームでいうリセットボタン。
 何もかも捨てて、知らない土地で
 別人になりたい。
 そんな気持ちもわかる。
 
 正直、Xの正体はどーでもよくなった。
 弁護士城戸の闇の方に興味が大きく
 なっていった。

 相変わらず、僕の見方は変。


 終盤、ある男にストレスが大きく
 なっていった僕。
 ムカつくは〜コイツ。イラッ。

 ストレス最高潮になった瞬間。
 里枝さんより先に城戸がガツン!
 
 キター!ドンピシャ!
 この映画、最高!
 面白かった。お勧めします。

 息子の演技も良い。
 偉大な先輩3人の背中を見て、
 素敵な役者さんになって欲しい。
非常にうまく仕上がった映画。
原作は未読だが、観たあとに読みたくなった。

久しぶりにイライラしない映画だった。

役者が豪華。
華やかという意味でなく(貶してるのでは無く、客寄せキャスティングでは無いという意味です)
旨くて、体現のできる役者しか出ていない。
(仲野太賀にこれだけ?清野菜名もイイ)

今の窪田正孝の年齢を考えると
青年も出来て、中年にさしかかるまでがカバーできる非常に良い時期。
この人は今後も長く観ていたいと思わせる。
死ぬまで役者でいるだろう。

ツッコミどころ満載のストーリーと
とにかく驚かすか泣かせとけば良いと勘違いした幼稚な邦画の多い昨今の中で、
あたりをひいた感じ。
大人が見ても落胆しない作り。
映画館でじっくり観るべき作品と、満足度は高い。

ただし、視点が若干ブレるのだけが残念。
主人公が誰なのかを
最初から最後まで徹底した作りのほうが、観ているコチラは楽。

おそらく役者がうますぎて
各所に感情移入してしまうため、

妻夫木聡が主演で主人公である。

というのがわかりづらい。
そのため、ラストがなんでだよ。
みたいな感覚。
けん

けんの感想・評価

3.3
監督 石川慶(愚行録)
脚本 向井康介(愚行録)

過去の自分の黒歴史なら、禊ぎを果たせば、帳消しにした気分になれるかもしれない。

でも、家族や家系といった血のコミュニティから逃げることはなかなか出来ない。差別や偏見の対象になってしまった家族からは、よっぽどのことをしなければ、脱出することは難しいんだな。

いわゆる普通の日本の家族で生きてきた人には、想像することができないことを、この映画は突きつけてくる。

ワインのシーンが印象的だったんだ。
安いワインのラベルを剥がして、高いワインのラベルを貼って売れば、高く売れる。

人は、中身を知る前に、貼られているラベルで判断されてしまう。自分に貼られているラベルを変えることができれば、中身が悪くても大概偏見を回避することができるんだな。

そして、観客に答えを委ねたラストシーン。この映画の最初と最後に出てくる複製禁止というマグリット作の絵画作品の意図を理解して観ると、感慨深く観れると思うな。

複製は禁止。
ある男の正体を巡る物語。その正体を知るために動く弁護士。調べていくうちに次々とでてくる事実。色んな男たちの色々な苦悩や葛藤を見ていく上で、正直初めは意味がわからなかった。だが、話が進むにつれ、徐々にその男の正体や、どんな感情を持ち生きてきたのかが明らかになってゆく。この映画をみた後の率直な感想は恐怖。人の憎悪の怖さ。人とは何か。いま目の前にいる人はどんな感情なのか。すごく考えさせられるような作品であった。

ある男たちが世間の目からは大きく外れていても、必死に自分を変えようともがき生きていく姿に心が震えた。
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