【今日観た映画「ある男」】
久々に邦画の新作を劇場で見ました。
いつもチェックしている映画評を昨晩聞いて俄然観たくなり、朝10時の回で観てきました。
事故で失った夫の本名が実は全くの別人のものであった。では、夫はいったい何者なのか。妻の依頼のもと夫の正体を探る人権派弁護士を妻夫木聡が演じています。
ミステリとしてはそれほど複雑ではなく、登場人物が生きてきた人生や事件に至る背景が重要な要素として描かれているため理解が追いつかないストレスはありませんでした。
またミステリにありがちな説明口調の脚本にはなっておらず、登場人物の心境の描写に関してはなかりの部分を俳優の演技に委ねられています。そしてそこを俳優の演技力をもって見事に応えており、非常に重厚で格調の高い作品に仕上がっていました。
昨今のSNSやそれを目にした人々の偏見や差別が作中の要所要所で適切に散りばめて本作のテーマを表現しているところに、その巧みさに唸らされます。
登場人物のさまざまな人生が描かれていますが、最後を最高の幸福をもって過ごした男とその家族に、しみじみと感動しました。
全ての映画を見ているわけではありませんが、1年に一本あるかないかの傑作を観ることが出来て幸運です。
評価 4点/5店満点