さすがは愚行録の石川慶監督。演出が冴え渡っていて、日本アカデミー賞作品賞以下賞を総なめにしたのは納得。すぐさま二度観した。
悪人の時の熱演した妻夫木聡が本作で甦った気がした。在日の自分は一体何者なのかと自我に問いかける場面は作品に大いなる深みをもたらしていた。
それにしても、随所にクスッと笑えるところがいっぱいあって、シリアス路線一直線でないのがいい。
柄本明、眞島秀和、小籔千豊、芹澤興人などの登場シーンは、小気味良いスパイスが効いていて、久しぶりに笑えてかつ深い味わいのある映画に出逢えた幸せと、日本映画はこれからもっと世界を席巻するほど伸びると思わせてくれるほどの満足感で、とても満ち足りた気持ちになった。
