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ある男のKのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
ずっと気になっていた作品。年内に観ることができてよかった。
作品を観る前まではサスペンスと思っていたけど、サスペンスではない。ヒューマンドラマかといわれるとそれも違う気がして。
名前とか経歴なんてなくなればただの人間であることに変わりはないのに。いつの日か自分のキャリアとかその人の生きた過程で人間としてのレベルが決められてしまう残酷さ。なんだか今の自分にグサッと刺さって途中から心が苦しくなった。その人が背負うコンプレックスとかってその人にしか分からなくて、その人にしか苦しみがわからない。ただその苦しみとかをただ分かってあげるのではなくて、包み込む優しさも大切なんだって思った。同じ人間なんていないし、誰だって消し去りたい過去は程度が違えどあるだろうし。

中学生の息子が良い思春期ボーイ過ぎてこちらまで涙が止まらなかった。あの子はきっと人の痛みも寂しさも分かろうとしてくれる大人になると思う。安藤サクラの前半と後半での表情というか、なにか纏わりつく雰囲気の違いがすごくて、安藤サクラという役者は何者なんだってなる(n回目)良作。
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