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香川1区のislandのレビュー・感想・評価

香川1区(2021年製作の映画)
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冒頭、前作から続きマイルールに苦悩する様子に、変わってないな...と苦笑い。こんな調子で150分持つのかと不安になったが、導入としてびったりだったのだと観ているうちに分かった。

この冒頭のシーンは、小川氏は良くも悪くも前作から変わっていない、という前提の共有。そのため、選挙区勝利を本人の成長みたいなストーリーでなく、対立候補との対比や支援者の奮闘で説明する仕立てで、納得感があった。

小川氏の実直な人柄は改めて見ても身がつまされるが、今回は前のめりになって第三者に激昂するシーン、訪問先で関係者に行き当たる場面など臨場感があって面白かった。

立憲の支持者でもないのでどうしても終始身構えながら見てしまうが、前作と違い平井氏側も(相対的に)ポジティブなシーン、ネガティブなシーンを組み込んでいてバランスがよかった。 

動員票の報告会場や撮影の妨害などは、日本政治を考えるための普遍性のある記録だった。

終盤の娘さんの挨拶は思いがけず涙がこみあげた。この作品で一番感情が高まり、共感した。政治家を周囲で支える人たちがとても生き生き映っているのが、この映画の一番の美点と感じた。それこそが作り手の制作意図なのだろう。

一点気になったのは、道端で会った同僚議員は疑惑打ち消しに動いたのだろうか。道端で話すシーンを入れるなら、回収してほしかった。宙ぶらりんで気になっている。

とはいえ、相変わらず総理大臣になれなさそうな小川氏。プーチン級の首脳とサシで話せる日は来るのだろうか。また続きが見てみたい。
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