素晴らしい。
「あなたは〈彼女〉を、体験する」というキャッチコピーがそのまま映画を表しています。
普通よりも長いカットは、彼女視点に観客を惹き込む意図を強く感じました。また、本編中、周囲から彼女に向けられる視線が印象深く、これは観客が映画を観ている時に彼女に向ける視線とリンクしている気もしました。
この周囲からの「視線」が、事実を知った時に主人公の友人が急に身を引くシーンや、身ごもった子供の父親との問答のシーンなど、主人公に近い存在の人間たちを対照的に強調していたように思えました。
本作と『TITANE』は、女性主人公の妊娠を中心とした物語の、新進気鋭の女性監督による映画であり、共に世界最大の映画祭で最高賞を受賞している、ということに時代の流れを強く感じます。
