たこ

恋い焦れ歌えのたこのネタバレレビュー・内容・結末

恋い焦れ歌え(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

2回見た。
1回目は真相が明かされるまであらゆるシーンで「いや〜でもこいつ許されんクズじゃん」って思って見てたからエェ?BLゥ?と斜に構えて見てたけど2回目は素直に楽しめたし別の見方が出来て2度おいしいね。

主人公桐谷仁がめちゃくちゃ強い。本当に。襲われた後にその足で被害届をだしに行けるところも、3ヶ月なんとか元の生活を取り戻そうとしてカウンセラーに通ってるとこも全部強くて好き。でもこの強さは多分桐谷仁の頑固さから来ててこの頑固さが出てる最初の授業シーンは嫌な先生だなって思ったし文太に「国語っていうのは差別用語で…」的なことを初手で言ってんのも桐谷仁の良くも悪くも頑固なとこが描かれてて良かった。
俗っぽいとか安易とかいって俳句disってんの割と意味わかんないんだけどラップが好きだけど好きが故にあたりが強い的なやつと解釈。シェルターに来て勉強や教養とはかけ離れた世界を知ってその中で音楽や言葉に自由になった?だから松尾芭蕉を読み始めたし文太に俳句を捧げたのか。あの俳句ラップは教養のないあの場の人に俳句自体の意味は伝わってないはずで、それは画面のこっち側にいる私も俳句の意味はよく知らなくてでも響くものがあった。これが音楽の力で言葉の力なのかも。このラップシーンが一番好き。

1回目に見たKAIのネタばらしは全然気づけなかったから衝撃だしKAIにめちゃ謝ったりしててその後の展開を冷静に見れなかった。2回見てよかったとこ。
KAIがトラウマ克服のためにやったことを仁にやらせてたわけだがシェルターに最初に来た時の犯されラップってKAI自身の経験をラップにしたやつってこと?と2回目思ったんだけどコミカライズ版読んでも分かりませんでした。残念。あとKAIのアリバイってなんすか。
ラスボス先生マジで怖いんだけどBBQにして逃げた先に包帯グルグルでまだ生きてんのB級映画感があって面白くなっちゃったんだよな、好きなので。なんで森で寝てんだろう……というファンタジー感もマシマシで面白くなっちゃった(ごめんなさい)でもあんだけ今まで仁を辛い目に合わせて暗い表情を沢山見せてくれたのに最期は見せてくれないの!?!?ってなっちゃった見たかった。
メディアミックスしてる今作はコミカライズ版がKAI視点ということでKAI視点なのは間違いないけど大まかなキャラクターとストーリー以外はかなり違うので映画の話を補完するのにはあんまり使えない。ラップ部分は恐らく一緒なので何歌ってたのかはわかる。コミカライズ版の方がラストは希望があって映画は「どうするの……」ってなった。でも彼ライターを持ってったから多分大丈夫。ライター、というか火が希望の象徴として描かれてると思う。襲われている間に見えていた工場のフレアスタックは暗い中で見えていた光で希望でそんな中で拾い握り続けてたライター。愛しい人を救うために放った火。だからKAIは大丈夫。と、信じておく。

桐谷仁がキレながら学校前でタバコを拾って「ポイ捨てすんな!」ってKAI追いかけてるとこと家の前のポイ捨ては拾わない(余裕が無い)とこ好き〜!
今作イチのパンチラインは「法律なんかじゃ愛は守れないね」です!良すぎる
たこ

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